タリバン復権後の厳しすぎる戒律とは:アフガニスタンではヒゲ剃りもダンスも禁止

タブーだらけのアフガニスタン
女性に対する締め付け
窓を覆う
石打ちの刑
手首の切断やその他の過酷な刑罰
同性愛者の処刑法
さらなる禁止事項
凧あげ禁止?
劇場・映画館の閉鎖
バーミヤン大仏の破壊
大仏爆破
再建計画
女性がしてはいけないこと
川で洗濯?禁止!
化粧やお洒落も禁止
人前で笑うのもダメ
抑圧と貧困
岐路に立つアフガニスタン
タブーだらけのアフガニスタン

2年半前に復権したアフガニスタンのタリバンは、1996年から2001年に国を支配していたころとは違うイメージを世界に発信しようとしている。当時、タリバンは人々の行動を厳しく制限しており、まるで反ユートピアのようだった。とりわけ女性に関しては何もかも禁止だったのだ。

女性に対する締め付け

第一次タリバン政権下で、女性たちはブルカ(身体を完全に覆う窮屈な服装)の着用を義務付けられていたほか、仕事も許されず、外出には男性の同伴が必要で、家の外で大きな音を立てることは禁止されていた。さらに、スポーツも禁止されており、女の子は10歳で学校を辞めなくてはならなかったという。

The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に

窓を覆う

また、地域によっては、窓ガラス越しにブルカを外した女性の姿が見えたりしないよう、各家庭の窓を黒くする条例を定めたところすらあった。病院で女性の治療にあたる女性には仕事が認められたが、同時に女性専用病院の数が減ったため、重大な福祉問題が起きたと考えられている。

石打ちの刑

刑罰は苛烈を極め、たとえば姦通罪は石打ちの刑に処せられることになっていた。

手首の切断やその他の過酷な刑罰

タリバン政権の刑罰についていえば、窃盗に対する罰は手首の切断と定められていたほか、飲酒をした者や賭け(またはそれに類する遊戯)を行った者、不道徳な行ないをしたと見なされる者には鞭打ちの刑が課されていた。また、重大な犯罪行為で被害を受けた家族は、火器を用いて犯人に報復してよいことになっていた。

 

同性愛者の処刑法

同性愛には死刑が課されていたが、処刑方法も残酷なものだった:受刑者をレンガの壁の下敷きにするのだ。

さらなる禁止事項

男性については髭剃りが禁止されたほか、西洋風の服装も禁止。公共の場で音楽をかけたりダンスしたりするのも禁止だ。

凧あげ禁止?

なかには宗教的・道徳的な意味合いの薄い、理解しがたいルールもあった。たとえば、凧あげの禁止がこれだ。アフガニスタン出身の小説家、カーレド・ホッセイニは凧あげをモチーフにしたヒット作『カイト・ランナー』を出版しているのだが。

劇場・映画館の閉鎖

ボリウッドスターの姿があしらわれたポスター(写真はカブールで撮影されたもの)が街角にふたたび出現するようになったのは、タリバン政権崩壊後だ。原理主義的な教義解釈に基づいて映画館や劇場が閉鎖されたほか、寓意画も禁止。価値の高い芸術作品の中にも破壊されてしまったものがある。

The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に

バーミヤン大仏の破壊

2001年、タリバンは世界でもここにしかない貴重な遺跡を破壊することに決定。対象となったのはバーミヤン渓谷の岩山に彫りこまれた巨大な大仏だ。これらの遺跡は5世紀~6世紀ごろに作られたものだと考えられている。

写真:ファルス通信(CC BY 4.0)https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid = 70963205

大仏爆破

タリバンの大仏破壊計画には国際的な反対運動が巻き起こった。(伝統的にタリバンと良好な関係にあるパキスタンでさえ難色を示したほか、サウジアラビアやアラブ首長国連邦といったイスラム諸国も反対の立場を表明した)しかし、結局、彫刻は破壊され空洞だけが残ることになった。

再建計画

アメリカ軍の侵攻でタリバン政権が崩壊した後、バーミヤン大仏の復元プロジェクトが始まったが、何世紀にもわたる風雨にさらされてできた巨像の姿を再現することは不可能だ。

女性がしてはいけないこと

1990年代のタリバン政権下で定められた女性に対する禁止事項には、屋外を走ってはならないというものがあった。女性はゆっくり「しとやかに」歩かなくてはならないというのだ。

川で洗濯?禁止!

また、農村地帯では女性が川で衣服を洗うのも禁止されていた。

化粧やお洒落も禁止

当時のタリバン政権下では、女性の化粧(たとえば、ネイルケアなど)はすべて非合法だった。執念深く街をパトロールする道徳警察にマニュキアを塗った爪を見咎められようものなら、通りの真ん中で殴られることになりかねないのだ。

 

人前で笑うのもダメ

タリバンの法制度によれば公の場で女性が笑うのは不道徳であり、避けるべきことだとされていた。

抑圧と貧困

90年代のタリバン政権下のアフガニスタンでは、女性の仕事や教育に関する多くの制約のせいで、生きるすべをもたない戦争未亡人たちが物乞いをする姿がよく見られた。

 

岐路に立つアフガニスタン

アフガニスタンではタリバンの復権により、時代遅れな戒律や過酷な刑罰が再び導入される恐れが高まっている。しかし、すでに蛮行が行われているという証言がある一方で、タリバン指導者たちは公には穏健な活動を標榜している。アフガニスタンは今、どこに向かおうとしているのだろう?

画像:Sohaib Ghyasi / Unsplash

The Daily Digest をフォローして世界のニュースをいつも手元に

ほかのおすすめ